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中古車の売買市場:中古車オークション
中古車の相場価格を決めている最大の要因は、中古車オークションでの取引価格です。
中古車オークションとは、中古車を取り扱う業者同士が、不要な車を出品し、欲しい車を買う為に作られた専用の市場で、通常は一般の顧客は参加できず、それぞれのオークション会場ごとの審査を通った業者のみが参加できます。ですが、取り扱い業者から特別に紹介があった場合は、中古車販売業者でなくとも参加できる所もあるようです。
オークションはそれぞれに開催する団体や、包括する地域が違いますが、各地方の主要都市が開催地となり、だいたいどの会場も週に一回、決った曜日に開催されています。主催団体の所属グループによって、中販連(JU)系オークション、メーカー系中古車オークション、中古車オークション専業者の3つに大分されますが、それぞれに特色があり、欲しい車の種類によってどの系統のオークションに参加するかが決ります。
実際のオークションでは、オークション会場が仲立ちとなって車や現金、書類の受け渡しをしています。オークションに出されている車は出品リストに載せられるほか、会場のヤードに現物が並べられ、車を買いたい業者が確認できるようになっています。
もしそこで欲しい車があればチェックしておき、後に行われるセリで落札希望額を入力して、出品者の希望額以上でなおかつ最高額を示した所に売られます。このオークションの一連の流れは、基本的にオークションの設備がある会場で行なわれますが、出品者と入札者が直接接触する事なく進められます。
中古車オークション:中販連(JU)系オークション
中古車販売業者が参加している組合、「一般社団法人 日本中古自動車販売協会連合会」が母体となっているオークションです。この中販連(JU)は、日本全国の中古車販売業者が会員となっていますので、全体での参加業者が最も多いのが特徴です。
もともとこの中販連は中古自動車の販売について、流通ルートおよび適正価格の整備を行う事を目的として設立されたもので、各地の中古車オークションの会場の設置を積極的に行っていました。
そのお陰でほぼどこの地域に行ってもそこの主要都市でなら中古車オークションで中古車が取引されるようになり、しかも参加しているのはその都市がある地方の業者ですので、地域密着型の、良く言えば伝統的な市場を形成しています。
また、オークションの運営の他にも、中古自動車販売士の資格設営や、交通遺児育英基金にも参加しており、中古自動車の社会的意義の向上にも一役買っています。
しかしながら、一番最初に流通を確立しただけあって、オークション会場の設備や運営方法が時代の流れに沿わなくなってきている面も見受けられ、後発の中古自動車流通網に遅れをとっている感も見受けられます。その悩ましい事例として、全国的な参加業者の数が最大であるにもかかわらず、ある地方の局所的な部分だけを切り取ると、オークションを行うのに十分な数の業者や中古車の数が集まらず、オークション自体が衰退しているのに会場だけが残っているというなんとも寂しい光景も問題になっているようです。
中古車オークション:メーカー系中古車オークション
メーカー系中古車オークションは、その名の通り、自動車メーカーが主導となって行っているオークションです。
その特色は、基本的にその自動車メーカーの車が多く集まる所にあります。車のユーザーの中には、特にブランドイメージを重視する方もいると思いますが、その場合には、こうした特定メーカーが主催するオークションの方が満足感が高いかもしれません。
メーカー系中古車オークションでは単なるイメージだけでなく、実際に自社で生産している製品ですから、メンテナンス等の品質面ではとても信頼性があります。
また、購入後の保証やアフターサビスも整っており、なにより販売網や、顧客へのフォロー体制が全国規模で展開しているので、どこで利用しても一定水準以上のサービスが期待できます。その反面、そうしたサービス維持の為か、場合によっては個人経営をしているような業者と比べると価格が割高に感じる面もあるのは否めないかもしれません。
更に、もともとこうしたメーカー系中古車オークションは、各メーカーの在庫処分の意味合いが強く、出品者はそのメーカーの系列ディーラーのみ、落札者は中古車取り扱い業者のみという傾向にありました。その門戸の狭さの為、中古車売買の市場としては中古車オークション専業者系のオークションに比べるといまいち勢いがありませんが、それでも最近では参加条件が緩められたりして、一般の方も購入に参加できるようになっているようですので、こだわりのある方は健闘してみてはいかがでしょうか。
中古車オークション:中古車オークション専業者
今現在中古車の売買市場として最も活気のあるのが、この中古車オークション専業者が提供する中古車オークションです。中古車オークション専業者とは、その名の通り中古車のオークションをする事だけを目的に作られた企業で、独立した資本で作られたものや、中古車販売業者同士が合同出資して作られたものがあります。最大手としてはUSS(Uesd car System Solution)があります。
基本的な体制は、オークションのシステムを提供する代わりに手数料などを徴収するというもので、これをより広い地域、規模で行うというものです。中販連のオークションとの違いは、中販連があくまで会場の施設や運営だけを行い、その会場で行われる売買自体は、その会場のある地域に限られているのに対し、こちらのオークションは車のデータを全国規模で共有するので、地域を跨いで売買が行われるという点にあります。
また、こうしたメーカー系中古車オークションでは、プロの検定員が車の状態を保証し、車の現物を見なくとも安心して購入できるシステムを確立した株式会社オークネット・インスペクション・サービス(AIS)の様な方式を採用している例もあります。中古車を買う場合には、新品を買う場合と違って、製品ごとに使用された状況や状態が違う為に、一品一品がそれぞれに違う商品という、俗に言う「一物一価」という考え方がありますが、評価の手法や基準をより信用のある物にする事で、その一物一価という考え方から開放された取引を実現しているのが成功の理由のようです。
中古車オークションに参加するには
中古車オークションには、主催団体によって幾つか種類がありますが、どのオークションにも共通する事は、誰でも簡単に参加できる訳ではなく、主催団体が参加を認めた会員のみが売買できるようになっています。もし個人的にこうしたオークションから車を購入したいと思った場合、方法は大きく分けて二通りあります。
その一つは、そこのオークションの会員になる事です。細かな加入条件は団体ごとに異なりますが、最低限必要な事として、古物商免許を持っている事と、中古車の売買の経験・実績を示すもの(店舗の写真など)の提示があります。その他にも、そこのオークションの現会員の紹介や、他の中古車オークションの会員かどうかという点も会員資格の審査に影響を及ぼす事がありますので、これはどちらかというと既に中古車売買を生業としている方向けの方法です。
もう一つは、オークション代行業者を利用する方法です。こちらは、お客さんが欲しがっている車を探して、代行手数料を取って、そのお客さんの代わりに実際にオークションに参加して車を手に入れてくれる業者です。こちらの方法の場合は、特に資格などの必要がありません。実際にオークションに参加して落札するのは、オークション参加資格を持ったその業者が行うからです。
更に、その代行業者の料金やサービス内容次第ですが、基本手的に車を手に入れた後の名義変更手続きなども行っていますので、単純に車が欲しいという方向けです。
中古車オークションで財テク:オークション屋
「背取り」という事をご存知でしょうか。古本の世界で行われている事で、ある古本屋に置いてある本を買取り、別の古本屋に売る事で利益を得る事、あるいはそういった事を行う人を指します。中古車の世界でも、同じようにオークション同士を行き来しながら中古車を転売し、その利ざやで稼ぐオークション屋という人たちが存在します。
そもそもなぜ転売で利益が出るかというと、特に中販連系のオークションのような地域性の強い市場の場合、ある地域では売れ残るぐらい人気のない車が、別の地域では即完売するぐらい持て囃されている、という事があります。
オークション屋は、そういった各地域ごと、オークションごとの相場の情報を仕入れて、安い所から買い上げ、需要のあるオークションへ出品するのです。
また、メーカー系オークションや、中古車オークション専業者の所では、所有している中古車の情報を全国的に共有している所が殆どですので、一見こうしたオークション屋のはいる余地はない様ですが、この二つのオークションの持っている情報はあくまで自分の所で持っている中古車の情報だけですので、もしそれ以外の所で扱っているにも拘らず、ニーズのある中古車があれば、こうしたオークションとも取引が可能になります。
このように、オークション屋として成功する為には、各オークションの持っている情報をよく収集して、様々な中古車相場について熟知している必要がありますが、単価の大きい品物だけに大きな利益を得られる事もあります。