ETCのパーソナルカードはデポジットとして料金を前払いすることで、クレジットカードなしでも利用できるETCカードです。もちろんデポジットはあくまで預託しているだけなので、解約する際には返金してもらうことができます。そのためそれほど利用負担もないため、人気のETCカードです。
そんな人気のETCパーソナルカードについて詳しく紹介していきます。
目次
前払いETCパーソナルカードとは?
ETCパーソナルカードは6社の高速鉄道会社が提供しているETCカードです。
● NEXCO東日本
● NEXCO中日本
● NEXCO西日本
● 首都高速道路株式会社
● 阪神高速道路株式会社
● 本州四国連絡高速道路株式会社
以上の会社が提供しています。一般的なETCカードと最も大きく異なる点は、前払いのデポジットが必要になる点です。ここではデポジットについて解説します。
デポジットを前払いする仕組み
ETCパーソナルカードを使ってETCを利用する場合には、月の平均利用金額の4倍の金額をデポジットとして前払いする必要があります。
通常のETCカードはクレジットカードに付帯しており、ETCを利用して決済する際に利用承認を得ることで、後から料金を請求することが可能です。しかしETCパーソナルカードはクレジットに付帯しているものではないので、口座に残高がないと利用できません。
そのため予め後述する計算方法によって規定されたデポジットとして前払いする必要があるわけです。しかし前払いするとはいっても、ETCパーソナルカードを利用する際に前払いしたデポジットはあくまで預託なので、ETCパーソナルカードを解約すると、返金を受けることができます。
ただし返金時には以下の2点に注意してください。
● ETC利用金額の未納があるとデポジットから差し引かれる
● 銀行口座に振り込まれる形になり、返金されるまで1〜2ヶ月ほど要する
デポジットはカード解約まで返金不可能
デポジットは一度支払いを行うとETCパーソナルカードを解約するまでは返金不可能です。そのためETCパーソナルカードを使っている間はそのお金はずっと利用できません。
デポジットはETC利用額により決まる
ETCパーソナルカードを利用する際に前払いするデポジットは、ETCの利用額によって決まります。
デポジットは平均利用月額の4倍なので、下表のように支払いが必要です。
平均利用月額 | デポジット金額 |
5,000円 | 20,000円 |
10,000円 | 40,000円 |
15,000円 | 60,000円 |
20,000円 | 80,000円 |
これらの平均利用月額は基本的には自己申告とはなります。しかし支払いの済んでいないご利用金額がデポジットの70%を超えた月の翌月には20,000円のデポジット増額が必要になるので注意してください。
例えば月間利用月額を5,000円で申告しており、その月にたまたま車を長く使った結果、ETCを14,500円分利用したとします。
その場合、次の月からはデポジット金額が40,000円必要になり、追加で20,000円のデポジットを支払わなければなりません。
そしてデポジット金額を一度支払った分は解約まで返金されないので、デポジット金額を増やしたくない方は月の利用額を管理する必要があります。
またデポジットのその月の利用料金がデポジットの80%を超えてしまった場合には、ETCパーソナルカードは利用停止になるので注意しましょう。
なおETCの以下のような割引プランは、一度正規の金額で利用料金を計算した後で、割引が適用されて減額されるという仕組みです。
そのため割引後の金額はデポジットの70%・80%を超えていなくても、割引前の料金が超えてしまうことがあります。その結果デポジットの増額が必要になるケースや、ETCパーソナルカードが利用停止になってしまうことがあるのため、デポジットは余裕を持った額を前払いしてください。
● 高速道路料金割引プラン
● 平日朝夕割引
前払いETCパーソナルカードのメリット
前払いETCカードの最大のメリットはクレジットカードなしでも利用できる点でしょう。そしてクレジットカードなしもカードでも一般のクレジット付帯のETCカード同様にETC割引やマイレージサービスを受けられるのもメリットです。
クレジットカードなしでも作成可能
ETCパーソナルカードはデポジットを前払いすることでクレジットカードがなくても利用できます。事情がありクレジットカードの審査が通らないという方や、クレジットカードを持ちたくないという方でも利用できるのは大きなメリットです。
なおETCパーソナル以外にも以下のような方法でETCを利用することができます。しかしETCパーソナルカードが一番現実的です。
● 北國銀行(石川県の地方銀行)のVISAデビットを利用する
● ETCコーポレートカード
● 審査の緩いクレジットカードの審査を受ける
北國銀行は石川に住んでいないと口座開設することができないことが多く、ETCコーポレートカードは手続きが複雑なうえ、1枚のカードで1車両しか利用できません。また審査の緩いクレジットカードの審査を受けても1社で落ちてしまえば次に申請できるのは半年後だからです。
ETC割引やマイレージサービスも利用可能
ETCパーソナルカードでも通常のETCカード同様に、以下のようなETC割引やマイレージサービスを利用可能です。
● 平日朝夕割引
地方部でETCを利用する場合、6:00〜9:00・17:00〜20:00の時間帯に利用すると利用回数によって割引を受けられる
● 休日割引
土日祝日に地方部でETCを普通車・軽自動車で利用すると30%割引になる
● 深夜割引
全ての車種で毎日24:00〜4:00は30%割引になる
● その他
ETC2.0割引・外環道迂回利用割引など
※いずれもNEXCOの場合
● マイレージサービス
利用料金に応じてポイントが貯まり、ポイントを使ってETCを利用できる
前払いETCパーソナルカードのデメリット
クレジットカードを作れない方にとっては避けようがないものではありますが、一般的なETCカードを利用するよりも必要な出費が多いうえ、手間がかかるというデメリットがあります。
デポジットが必要
ETCパーソナルカードでは初期費用として、デポジットが必要になります。デポジットとして前払いした金額は解約時に返金されるとはいえ、ETCパーソナルカードを利用している間中ずっとそのお金は利用できないのであれば、ないのも同じです。
年会費がかかる
ETCパーソナルカードを利用する場合には、毎年1,234円の年会費がかかります。明細書の発行やカードの発行などの運営費用がかかるため、必要な費用です。しかしクレジット付帯のETCカードの中には無料で利用できるものも多いことを考えると少し損だと感じる人もいるでしょう。
支払い金額分のポイントが貯まらない
クレジットカード付帯のETCカードを利用していると、利用料金を支払う度にクレジットカード会社のポイントがつきます。ETCの利用料金は毎月支払いのあるものです。ETCパーソナルカードを利用する場合には、毎月得られていたはずのポイントをもらえないということになります。
申し込みに手間がかかる
ETCパーソナルカードの申し込みはクレジットカード付帯のETCカードの申し込みよりも手続きにかかる手間が大きいです。申し込み方法は下で紹介します。
前払いETCパーソナルカードの申し込み方法
前払いが必要になるETCパーソナルカードの申し込み方法を解説します。
申し込みに必要なもの
● ETCパーソナルカードの申込書
● 銀行届印
● 利用料金の引き落とし用銀行口座番号
● 本人確認書類(運転免許証、健康保険証、パスポート、住民票の写しなど)
申込書を入手
まずは申込書を入手します。申込書の入手方法は以下の2つです。
● サービスエリアなどのインフォメーションで入手
申込書が用意されているサービスエリアに行った際に入手可能です。
● ETCパーソナルカード事務局に電話して郵送を依頼する
サービスエリアに行く予定がない方は、数日かかってしまいますが、郵送依頼するのもおすすめです。
【ETCパーソナルカード事務局】
TEL:044-870-7333(平日9:00〜17:00)
申込書に必要事項を記載のうえ、本人確認書類のコピーと郵送
氏名・住所・ETC利用料金の引き落とし用の銀行口座番号などの必要事項を申込書に記載し、必要箇所に印を押します。そしてその申込書を本人確認書類のコピーと一緒に郵送します。
デポジット金額を計算し振り込む
申込書と本人確認書類を確認し、問題がなければデポジット振込のご依頼の書類が届きます。払込取扱票が同封されているので、コンビニエンスストアや郵便局で支払いましょう。
デポジット金額を振り込んでから約2週間ほどでETCパーソナルカードが届きます。届いたその日からETCパーソナルカードは利用可能です。
万が一のための前払いETCパーソナルカードの解約方法
ETCパーソナルカード事務局へ連絡する
前述したETCパーソナルカード事務局に連絡し、解約をしたい旨を伝え解約書類を送付してもらいましょう。
必要事項を記入してカードと一緒に返送する
ETCパーソナルカード事務局から送付されてきた解約手続き書類の必要事項を記入して、ETCパーソナルカードと一緒に送付します。
1〜2ヶ月でデポジットが返金される
解約手続き書類とETCパーソナルカードを送付して解約完了後1ヶ月〜2ヶ月ほどでデポジットが返金されます。
ETCパーソナルカードならクレジットカードなしでも利用可能
クレジットカード付帯のETCカードはクレジットカードを問題なく作れる方以外は利用できませんでした。
しかしETCパーソナルカードならデポジットを前払いするシステムのおかげで誰でも利用可能です。
● ETC導入時にデポジット金額として、前払いの初期費用が最低2万円は必要
● 年会費が1,234円かかる
● クレジットカードで支払う場合と異なり、支払いごとにポイントがつかない
上記のようなデメリットはありますが、ETC割引やマイレージポイントなどは使うことができて便利ですよ。
クレジットカードなしでETCカードを使いたい人はETCパーソナルカード作ってみることを検討してみてください。