「トヨタ」って、実は4つも販売店があるってご存知でしょうか?
「トヨタ店」「トヨペット店」「トヨタカローラ店」「ネッツ店」とに分かれており、それぞれで販売している車種が違ったり、メンテナンス料金が多少違ったりします。
そこでは、新車を買うときの値引きや、接客、メンテサンスにも差があるのです。
では、どんな風に差があるのか。
値引きはどこで購入すればたくさん値引いてもらえるのか。
どうすれば良い接客やメンテナンスを受ける事ができるか、という部分などを元トヨタディーラー営業マンの視点からご紹介いたします。
◆トヨタ販売店の違いによって新車値引きに差があるの?
同じ「トヨタ」という名前の元で沢山の販売店があります。
そこで私が現役トヨタディーラー営業マン時代、お客様によく聞かれた事があります。
「値引きは他の店と一緒なの?」
「このお店で買って、他の販売店よりも得をする事があるの?」
その当時にも私のお客様には正直に伝えておりましたが、結論から最初に申し上げておきますと、
「販売店によって大小ありますが、差はあります」
と、お答えします。
では、いったいどれくらい新車値引きに差があるのでしょうか。
差が出る仕組みに関してもご紹介していきましょう。
・販売店(販売会社)で新車値引き額は、こんなに変わる
新車購入の際、「値引き」が多いのと少ないの、どっちがいいですか?
って聞くまでもなく、多い方がいいですよね?
トヨタの車種で車を検討された際に、他のトヨタ系列のお店と値引きが違うことを既に体験されている方もおられると思いますが、
ではその差はどれくらいなのか?
全販売店取り扱いのプリウスを例にあげてみると、例えばA地方のトヨタ店が25万円の値引きだったとすると、A地方のネッツ店では32万円値引き。
なんて事はよくある事です。
しかし、ひとたび購入地域が変わると、B地方のネッツ店が26万円値引きで、B地方のトヨタ店は30万円値引きという事も、これもまた当然のようにあります。
つまりどういう事かというと、実は販売チャネルによって値引きが変わると思われがちな新車値引きは、販売会社毎に変わるという事です。
神奈川の「トヨタ店」と、千葉の「トヨタ店」ではそれぞれに社長が存在し、資本も社員の勤務時間や会社理念も、全て違います。
完全なる別会社という事です。
それぞれの会社の方針で値引きの上限を設けていて戦略も違うから、新車を購入する際の値引き額も当然変わってきます。
また、全ての販売店の新車の値引き額は、車両本体価格の9%〜13%くらいが標準的な数値かと思いますが、販売会社によって1%〜3%くらいは差があるでしょう。
それでは、販売店による新車値引きには、どうして差が出てくるのでしょうか?
・販売店(販売会社)で値引きが違うのは、仕入れ価格が違うから?
トヨタブランドに限らず、自動車を作る会社ではありません。
自動車を販売して、メンテナンスをして、自動車保険など付随するサービスの手数料なども含めて利益を確保している会社です。
ですので、自動車をどこからか仕入れる必要があります。
トヨタ販売店の場合は、「トヨタ自動車株式会社」から、自動車を仕入れます。
ここまでは商売の一般的な流れなので分かりやすいかと思います。
では、トヨタ自動車から車を仕入れる際の値段は、全ての販売店で一緒だと思いますか?
答えは「No」です。
考えてみて下さい。
全販売店共通で取り扱っているプリウスですが、販売会社Aは年間2000台、一方で販売会社Bは年間3000台トヨタ自動車から仕入れて販売するとしましょう。
2000台売ってくれる会社と、3000台売ってくれる会社。
仕入れ価格は同じでしょうか?
法人営業されている営業の方ならすぐに分かると思いますが、たくさん買ってくれる方の1台あたりの価格を安くしますよね?
これはプリウスに限らず全ての車種で同じことが言えますし、販売店が同じでも都道府県が違えば全く違う販売会社になりますので、同じく「クラウン」や「アルファード」を仕入れるにしても、販売会社毎に仕入れ価格が違ってきます。
という事は、安く仕入れる方が値引きをたくさん出来るという事が想像してもらえるかと思います。
2018年12月モデルのプリウスのSグレード2WDの車両本体価格が2,565,000円というのは全国のトヨタ販売店で共通です。
しかし、販売店によって、その仕入れ価格が180万円の販売店もあれば190万円の販売店もあるという事です。
※ここで例に出した仕入れ価格は推測であり、実際の仕入れ価格とは関係ありません
そうすると、同じ額の利益を確保する為でも、安くで仕入れられる販売店の方が値引き額を多く出来る事がわかっていただけると思います。
もちろん、利益を削ってでも値引きをしてくれる販売店もありますが、平均的にみると安く仕入れられる販売店の方が、やはりたくさんの新車値引きをしてくれます。
仕入れ価格の違いが、新車値引きの差を生み出す理由の全てではありませんが、かなり大きな要因となっているの間違いないでしょう。
・他にもある?新車値引きが販売店によって違う理由
販売店は、それぞれ独立した別会社とお話ししました。
という事は、新車値引き以外のオプションの値引きや、トヨタ純正品以外のカーナビゲーションの販売によって、カーナビメーカーからバックマージンを得られたりする施策をオリジナルで出来たりします。
方法は様々ですが、お客さんが新車を購入する際必要な全ての費用を含んだ「総額」を安くする方法を独自で企画する事が出来ます。
「え?それって、新車値引きじゃないよね?」
という声が聞こえてきそうですが、営業マンは「新車値引き」という話の上で商談をすすめます。
営業マン「こちらの商品を同時に購入いただけるなら、さらに新車値引きを増やします」
とか、言い方は色々ありますが、ある程度新車以外でも利益を確保できると見込んだ所で、お客さんには見栄えがいいように、他店よりもたくさん値引きをしているように見せかける事が出来ます。
下取りを本来よりも低く提示して、新車値引きをより大きく見せる手法もあるので注意しましょう。
以上のように、言い出すとキリがないくらい色んな方法で新車値引きを「よく見せかける」事が出来ます。
これらの方法は、店舗や営業マン単位の裁量でも行えるので、純粋な「新車値引き」と思っていても実は違うという事が多いです。
結果的に総額が安くなれば良いという方がほとんどなので、こういった方法でもクレームが殆ど出ないです。
・どうすれば、他よりたくさん値引きをしてくれるの?
みなさん一番気になるのは、「どうすれば一番得なのか?」
という所だと思います。
私もそうですが、同じ車を購入するなら、少しでも安い方が良いに決まっています。
販売店によって新車の値引きが違いますと話をしてきましたが、ご覧いただければ分かる通り、仕入れ価格によって違ったり、販売店のさまざまな方法によって支払い総額が大きく変わってきます。
店舗や営業マンのサジ加減一つでも変わってきますので、私から言える事は、
「最終的にはわからない」
というのが本音です。
実際私が車を購入するとしても、どこから買えば一番特なのかなんて、わかりません。
ただ、他よりも安い確率が高い販売店とすれば、
1:人口が多い地域(車の台数が多い地域)の販売店
2:自動車ディーラーが密集している地域(トヨタに限らず)の販売店
3:店舗が大きく立派な販売店
かと思います。
少なくとも私が行くならそういう販売店です。
車の需要が多い所で、しっかりと施設にもお金をかけられる財力をもった販売会社が、値引きにも強いはずです。
また、自動車ディーラーが多く密集している地域では、値引きの競合もさせやすいので、より高い値引きを引き出しやすいでしょう。
それでは、車を購入した後のメンテナンスやアフターフォローなどの違いはあるのでしょうか?
◆販売店によって接客やメンテナンスの差があるのは、実はスタッフの違い?
「トヨタって日本一大きな自動車メーカーだから、どこへ行っても安心できる接客やメンテナンスが受けられるから安心」
という考え方で、ほとんど間違いないと思います。
販売店が違っても、サービスの質そのものがメチャクチャ悪い店舗は、「ない」とは言い切れませんが、ある程度の基準には達しているはず。
ただし、トヨタ販売店の満足度は、個人の感じ方にも依るところです。
正直、接客やメンテナンスの質は全国で一番悪い店舗から一番良い店舗までは、かなりの差があります。
上手く例えられないですが、飲食店の接客で比べると、「居酒屋」〜「高級ホテルのディナー」くらいの大きな差があるかも知れません。
販売店という一つの会社単位で接客レベルが違うというよりは、店舗にいるスタッフの存在がかなり大きいです。
トヨタブランドという大きな括りの中での研修制度も一応あるのですが、一人当たりの研修料金も高いので、外部の研修制度を利用する販売店も多いですね。
なので、均一なレベルの接客対応にはなりません。
メンテナンスとなると、もっと深刻です。
トヨタブランドに限った事ではありませんが、そもそも職業として「メカニック」という選択肢を選ばない若者が増えています。
理由は簡単です。
1:低賃金
2:危険な作業
3:キツイ仕事(メンタル面、フィジカル面)
そんな労働環境に、就職したい人は少なく、整備士になりたての腕のないメカニックも雇わざるを得ない状況にあります。
それぞれの販売店や店舗で努力はされていますが、現場で人が育つ環境を整えられているディーラーは少ないでしょうね。
このように、接客やメンテナンスは販売店よりも店舗にいるスタッフによって大きな差が生まれているのが現実となります。
それでは、良い接客や満足できるメンテナンスをしてくれるトヨタ販売店を見分ける方法はあるのでしょうか?
◆接客、メンテナンスが良いトヨタ販売店の見分け方
車を所有していると、どうしても必要になってくるメンテナンス。
たくさんの販売店がある中で、どこにメンテナンスをしてもらえばいいのでしょうか?
同じメンテナンスをしてもらうなら、接客が良くて腕もしっかりしたメカニックにメンテナンスをしてもらいたいですよね。
そんな時には、まず店舗の外観で判断してみるのも一つの手段です。
ポイントは、大きくてキレイで、スタッフが大勢居そうなお店です。
今の時期に、しっかりと大きくてキレイな店舗を作れる販売店は、財力もありスタッフの採用にも問題がないと言えるでしょう。
また、店舗へ車で入る際に、駐車場までのお出迎えと誘導があるかもポイントです。
お客さんが一人で店内に入らないといけないお店では、少し接客面が不安ですね。
メンテナンスの良し悪しを見分けるのは非常に難しいのですが、簡単に分かる方法としては、メカニックが着用している「ツナギ」と呼ばれる作業服を見ることをオススメします。
ほとんどのトヨタ販売店のメカニックには、肩の部分や胸の部分に取得資格ワッペンを縫い付けられるようになっています。
まあ、勲章のようなものですね。
そこでも腕のあるメカニックの証としては、「国家1級自動車整備士」があります。
「国家1級自動車整備士」はどんなメーカーのメカニックでも取得可能なのですが、トヨタにはさらに上の難易度の全国でも極僅かにしか与えられない称号があります。
それが、「トップクルー」です。
国家1級自動車整備士でも取得するのは何年もかかるメカニックも多い中、その国家1級自動車整備士も苦労に苦労を重ねて、限られたチャンスを掴み取れたものにしか与えられないトヨタメカニック最高峰の資格なんです。
数年前までは、近畿県内に数人しかいないような資格でした。
逆に、国家3級や2級では、比較的簡単に取得できる資格ですので、そこまで腕があるかどうかは、「?」ですね。
メカニックを外観以外で判断するとすれば、整備終了後にしっかりと整備内容の説明や次回の案内をしてくれるかどうかという所が判断基準ですね。
その際、フロントマネージャーや工場長なども挨拶に来てくれるなら、接客とメンテナンスともに信頼を寄せられる販売店であることは間違いないと思います。」
◆メンテナンス料金も選ばないと損、販売店によって全然違う?
新車値引きの際にもお伝えしましたが、トヨタ販売店それぞれが独立した「別会社」ですので、メンテナンスの料金体系やメンテナンス商品も、販売店によって全然違います。
新車時のボディーコーティングも、「撥水性」だったり「親水性」だったり、溶剤メーカーも販売店の自由に選んで使用することができます。
自動車オイルにしても、ワイパーゴムにしても、タイヤのメーカーにしても、どの部品を使うのかは販売店に任されています。
その上、車検費用や点検費用なども全て料金設定が違いますので、注意が必要ですよ。
販売店によっては、次の車検までの点検代やオイル代などの消耗部品をセットにしたメンテナンスをセット商品として割安で用意していたりもします。
かなり多くの販売店が、お得なセットを用意していますが、これも金額がピンからキリまで差がありますので、こういったメンテナンス費用の違いなどは、ホームページを見たり、店舗でチラシをもらうなどをして比較をすれば、どこが得な販売店かを調べることができます。
少し手間がかかりますが、メンテナンス料金の違いを知る術はありませんので、頑張ってくださいね。